南海電鉄 支線いろいろ(1) (平成16年4月25日撮影) (平成17年11月5日掲載)

 平成16年春、「スルッとKANSAIスタンプラリー」があり、10あるラリー地点のうち、2つが南海電鉄内(高野山駅,加太駅)にあったため、南海線に乗ってきました。また、そのついでに、他の支線にも乗ってみました。
 南海電鉄の支線は、地図を見ても、なぜこんなところに?、という感じがする線が多いような気がします。

高野山ケーブル
極楽橋駅で並ぶ、こうや号30000系(右)と、こうや号31000系 極楽橋に停まっている高野山行きケーブルカー
高野山駅

いわゆる「高野山」へ行くには、さらにバスへ乗り換えます。(バス専用道のため、一般車は来れません)
高野山駅に停まっているケーブルカー

・・・ちょっとこわい傾斜。
高野山駅から下を覗く・・・かなり急な感じ。 極楽橋駅。
残念ながら、良いアングルでは撮れなかった。

右側の坂を上がったところが、入り口(改札)。
改札を入ってまっすぐが、難波方面行きのりば。左へ行くとケーブルのりば。
極楽橋駅の入り口改札。

ここで降りる客は、限りなく少ない。
極楽橋駅から難波方面を見る。

こうや号が停まっているところは、留置線。その右の線路(ダブルスリップポイントの右側分岐)は、本線(難波方面線路)。「33」の看板は、なんと本線速度制限標識! この33km/h制限は、断続的に高野下駅付近まで続きます。
 高野山ケーブルは、高野線の終点極楽橋駅から、高野山を登っていくケーブルです。最急勾配は563パーミル(約30度)に達し、かなり急な部類に入ると思います。
 高野線にとって、極楽橋駅は終点なのですが、下車しても何もなく、ケーブル乗り換えのためだけの中間駅といった感じです。 高野線自身も、幹線と呼べるのは、(難波〜)岸里玉出〜橋本の区間だけで、橋本以南は、20m級の大型車が入線できず、さらに高野下から先は1時間に1〜2本(平成17年11月現在)となり、山岳地帯のローカル線といった感じです。

加太線
和歌山市駅(6番線)に停車中の、加太(かだ)行き列車。同じホーム後ろ(7番線)にちらっと見えているのは、和歌山港線列車。

加太線は、和歌山市駅の1つ大阪寄りの紀ノ川駅から分岐しています。
加太線終点の加太駅
 加太線は、南海線紀ノ川駅から分岐し、加太駅まで、営業キロ9.6kmの路線です。なお、列車はすべて、和歌山市−加太の運転となっています。沿線には、住友金属和歌山工場などがあります。運転間隔は、終日、ほぼ20分に1本の間隔で運転されています(平成17年11月現在)。また、写真で見る限り、20m大型車が使用されており、和歌山市駅での南海線列車が1時間に5本(普通列車は2本)であることを考えて、そこそこに乗客があるのかも知れません。(途中駅の旅客がほとんど見込めない和歌山港線も、加太線と同じ車両が使用されていますが、おそらく共通運用になっているものと思われます→和歌山港線はこちら

多奈川線
みさき公園駅に停車中の多奈川行き列車 多奈川線の終点、多奈川駅

淡路航路があった頃は、難波からの急行「淡路号」が運転されていました。
多奈川駅前にあった、岬町観光案内図。

岬町は、大阪府の最南部にあります。
多奈川線、多奈川駅から1駅目、深日港(ふけこう)駅。

かつては、駅前の港から、淡路航路や友ヶ島観光船が出ていました。
深日港駅。
淡路航路がまだあった時代、臨時改札となっていたであろうところ。(青屋根の部分)
 多奈川線は、南海線みさき公園駅から分岐し、多奈川駅まで、営業キロ2.6キロの路線です。深日港から淡路航路が出ていた頃は、そこそこの利用客が会ったと思われます。写真で見る限り、車両は17m中型車(もと高野線極楽橋乗り入れ車)が使用されていて、運転間隔が約30分に1本(平成17年11月現在)という点から、乗客は少ないのではないでしょうか。
 この線は、もともと、第2次世界大戦の頃に、軍事目的で建設された線だそうです。
 今となっては、軍事目的はもちろんあり得ず、淡路航路も無くなってしまい、今後はどのようになっていくのでしょうか?

高師浜線
高師浜線終点、高師浜(たかしのはま)駅

洋館のような、立派な駅舎。
高師浜駅に停まっている、羽衣行き列車。
 高師浜線は、南海線羽衣駅から分岐し、高師浜駅まで、営業キロ1.5kmのミニ路線です。路線は完全に単線で、1本の列車が往復するだけの線です。終点の「高師浜」駅舎が、洋館風の建物となっていますが、これは、大正時代には、この付近が高級住宅街で、地域の声によりこの線が開業したそうです。現在は、すぐ沖合に大手石油会社の製油所があり、高級住宅街は、過去のものとなっていると思われます(駅前ですぐ折り返したため。付近の状況は観察していません)。
 運転間隔は、昼間20分,ラッシュ時15分となっています(平成17年11月現在)。また、車両は17m中型車。 街中を走っていながら、この運転形態は、あまり存在価値が無いのかも知れません。羽衣駅に於いても、高師浜線ホームは改札口から遠い側に、切り欠きホームとして存在するため、影の薄い存在となっている感じがします。しかも、羽衣駅は、JR阪和線(羽衣支線)東羽衣駅が目の前にあり、乗り換えといえば、むしろそちらの方が目立っている感じがするのは、ワタシだけでしょうか?

その他
和歌山市駅に停車中の、難波行き急行 天下茶屋駅に停車中の、高野山(極楽橋)行き特急「こうや」号
和歌山市駅に停まっている、普通難波行き 天下茶屋駅に停まっている、各停難波行き
「普通」列車には、通過駅がある!? 南海電鉄は、「普通車」と「各駅停車」の区別があります。

南海線の「普通車」は「今宮戎」駅,「萩ノ茶屋」駅の2駅を通過するためのようです。難波〜岸里玉出において南海線と高野線で複々線を形成していて、南海線側に、2駅のホームが無いためです。、

 南海電鉄には、泉佐野・和歌山市に向かう「南海線」と、橋本・高野山(極楽橋)へ向かう「高野線」という2大幹線があります。
 「南海線」から分岐する支線としては、岸里玉出駅で「汐見橋線」(正式には高野線の一部)、羽衣駅で「高師浜線」、泉佐野駅で「空港線」、みさき公園駅で「多奈川線」、紀ノ川駅で「加太線」、和歌山市駅で「和歌山港線」があります。空港線以外は2両ワンマン運行が基本のようです。
 「高野線」から分岐する南海電鉄の支線は、意外なことに1本もなく、他社線である泉北高速線(大阪府都市開発)が、中百舌鳥(なかもず)駅から分岐しているだけです。
 そのほかに、南海線,高野線とは接していない支線として、JR和歌山駅を起点とする「貴志川線」があります。

 この日は、3Daysチケットを使用したため、難波−高野山−天下茶屋−和歌山市−加太−和歌山市・・・と乗車しました。しかし、実際に高野山から和歌山に抜ける場合、高野山−橋本−(JR和歌山線)−和歌山の方が良いかも知れません。 また、堺東駅(高野線)−堺駅(南海線)には、シャトルバスが運転されています。(ただし、南海電鉄の運賃は合算されず、高野線,本線それぞれの計算となります)



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