南海電鉄 支線いろいろ(2) (平成16年7月17日,9月4日撮影) (平成17年11月5日掲載)

今回は、全く走るところの違う、2つの線を紹介します。
この2線に、未来はあるのでしょうか?

貴志川線(9月4日撮影)
貴志駅に停車中の電車。 貴志駅のホーム。
貴志駅 貴志駅ホームから車止めを見る。
車止めから、貴志駅を見る。 貴志駅ホームの駅名票。
伊太祁曽(いだきそ)駅構内。
車庫があります。

また、和歌山から伊太祁曽折り返しの列車も存在します。
伊太祁曽駅
近くには、伊太祁曽神社があります。
伊太祁曽駅にあった、
廃止反対の看板。

撮影に行った当時は、廃止が確定していました。
伊太祁曽駅に進入する和歌山行き列車
田中口−日前宮駅間(と思われる)

市街地では、家と家の間を走ります。
和歌山駅に停車中の列車。

JR和歌山駅の端に、南海貴志川線のホームがあります。
 貴志川線は、JR和歌山駅から、貴志駅まで、営業キロ14.3kmの路線です。南海電鉄の、他の路線とは接点がありません。
 運転頻度は、「貴志」行きが1時間に2本+「伊太祁曽」行きが1時間に0〜2本(休日はあまり運転されない)といったところです(平成17年11月現在)。車両は、もと高野線で使用されていた17m車を、写真のように貴志川線仕様に改造して使用しています(前面貫通扉なし、乗降扉を移設)。

 この撮影に行った当時は、廃止が確定していました。平日は、増発されることから、実は、汐見橋線よりも乗客が多いのかも知れません。ただし、他の南海電鉄線との連絡がないため、運用効率が悪かったのではないかと考えられます。また、JR紀勢本線和歌山−和歌山市を乗り入れて、和歌山市駅へ直通して、他の南海電鉄線連絡する、という案もありましたが、貴志川線は架線電圧が600Vで、そのままでは乗り入れが不可能(※1)なため、実現しませんでした。

 なお、現在は、岡山電気軌道両備グループ)が設立した「和歌山電鐵」によって、存続が決まっています。

汐見橋線(高野線:汐見橋〜岸里玉出) (7月17日撮影)
「汐見橋」駅にあった「南海沿線観光案内図」・・・いつの時代のものだろうか?
(案内図の左下には注意書きが・・・そこに答えがありました。興味ある人は、現地で確かめてください)
汐見橋駅で発車を待つ列車。
汐見橋駅、外から。

道路中の工事は、阪神電鉄西大阪線延伸工事です。
この写真の左(東側)は、汐見橋交差点になっていて、さらに左には地下鉄千日前線桜川駅があります。
また、汐見橋交差点を、手前側(北側)に少し進むと、道頓堀川があります。
 汐見橋線は、汐見橋駅から南海線岸里玉出駅まで、営業キロ4.6キロの路線です。正式には、高野線の一部で、汐見橋駅は、大阪高野鉄道の起点でした。(開業当時、今の汐見橋駅は「道頓堀」駅という名前だったそうです。)
 現在の運転頻度は、ほぼ終日30分間隔で、平日,土休日とも同じダイヤになっているようです。また、走っている車両は、17m車でした。この運転頻度から考えると、平日は貴志川線よりも利用客が少ない、と考えざるを得ません。沿線人口は、どう考えても大阪市内を走る汐見橋線の方が多いわけで、この線の存在価値は、一旦廃止の決まった貴志川線よりも低いように思えます。
 なお、汐見橋駅は、(南海電鉄の駅として)大阪ドームの最寄り駅となっています・・・どのくらいの人が利用するかは分かりませんが。※2


 貴志川線は、上にもあるように、撮影当時、廃止が確定していました。しかし、沿線住民が、NHKの「ご近所の底力」に出演(2004年9月2日放送・・・偶然にも乗りに行く2日前)、存続方法を模索するなど活動した結果、南海電鉄も「廃止」から「他社譲渡による存続」に方向転換しました。そして募集をかけたところ、何社かから応募があり、南海電鉄で審査した結果(というより、鉄道会社からの応募は他に無かったそうである)、岡山電気軌道に引き継がれることが決定しました。また、余談ではありますが、この決定のあと、岡山電気軌道が「スルッとKANSAI」への加入が決定しています。ただし、このままでは苦しい経営をしいられることになり、引き継ぎ後にも抜本的な改革が必須と思われます。

 汐見橋線は、上にもあるとおり、実際には高野線の一部ですが、岸ノ里駅が高架(同時に玉出駅と統合)となった際、駅の構造上、高野線岸里玉出以南との直通が事実上不可能になりました。(直通列車は昭和初期には、既に無くなっていたようです)
 もう廃止されても不思議ではない汐見橋線ですが、廃止しないのは、地下鉄なにわ筋線の工事を待っているのかも知れません。※3



※1 貴志川線の車両は、複電圧仕様(600V,1500V)になっているため、やろうと思えば1500VのJR紀勢本線や南海電鉄に乗り入れることも可能であるが、運転区間延長によって車両が不足し、新たに600V対応車を増備しなくてはならなくなる。もちろん、貴志川線を1500Vに昇圧することになれば、大幅な工事費用が発生する。現在の貴志川線に、そこまでの投資は難しいであろう。 なお、おそらくこの複電圧対応は、大検査時に、南海線の検車場への回送を可能にするためか、貴志川線廃止時に1500V運用に戻ってもらうための措置ではないかと考えられる。

※2 南海電鉄沿線から汐見橋駅を目指すには、堺駅で普通車に,または堺東駅で各駅停車に乗り換えた上、岸里玉出で汐見橋行きに乗り換えとなる。大阪ドームに行くなら、新今宮へ出て、JR大阪環状線に乗り換えた方が、はるかに便利であろう。

※3 大阪市交通局なにわ筋線・・・汐見橋,JR難波と新大阪をむすぶ路線で1980年代に計画が決まった。しかし、未だ工事する気配は全くない。すでにほとんど忘れ去られているようだ。 なお、「なにわ筋」とは、「四つ橋筋」のさらに西にある南北を貫く道路である。さらに西には「新なにわ筋」があり、その中の野田阪神−桜川には、大阪市交「千日前線」が通っている。



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