こんなに長い路面電車!? (平成17年8月12日撮影) (平成18年8月12日掲載)

 京都市中心部から、大津へ向かう、京阪電鉄京津線(京都市中心部は京都市営地下鉄)。その、大津側のターミナル。浜大津駅付近は、併用軌道が残っています。
 その、浜大津駅前交差点を中心に、写真を撮ってきました。


浜大津浜大津駅を出発した、京都市役所前行き列車。(800系)

京津(けいしん)線列車は、この交差点を曲がるように走り(電車が走っている線路を含む奥の2本)、
石山坂本(いしやまさかもと)線は、この交差点を直進します(手前の2本)
浜大津浜大津駅前交差点を渡って、浜大津駅に進入する、石山坂本線列車。(700形) 浜大津浜大津駅前交差点を渡って、浜大津駅に進入する、石山坂本線列車。(600形)

手前はバスターミナル・・・出発待ちのバスがちらっと。
浜大津浜大津浜大津浜大津
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浜大津併用軌道の終わり(始まり)に近いところ。

浜大津専用軌道から、併用軌道に出てくるところ。

この少し向こうに、上栄町駅があります。


 
京都市交通局(地下鉄)東西線 京阪電鉄京津線    
京都市役所前
二条方面 →→ 坂本
方面
←← == ==   == == == == == == == == == == == ==
  →→ 石山寺
方面
 
  京阪本線乗り換え 六地蔵方面

 京阪電鉄京津(けいしん)線の列車は、京都市交通局東西線:京都市役所前駅から、琵琶湖観光の玄関となる浜大津駅へ向かいます。まずは、地下鉄区間:御陵(みささぎ)駅までは地下を走ります。京阪山科駅(地下鉄山科駅とは別)から地上に出た後、急勾配急曲線が至る所にあり(勾配の最大は61パーミル:日本で第2位の急勾配※1,曲線の最小半径は40m)、そして浜大津手前が併用軌道、と短い間にいろんなものが凝縮されています。



京阪電鉄京津線(地下鉄開通前)
京津 →→ 坂本
方面
== == == == == == == == == == ==
→→ 石山寺
方面
京阪本線

 京津線は、もともと、京都市内と大津市内の両方に併用軌道がありました。また、「東山三条」,「蹴上」(けあげ),「日ノ岡」の3駅※2は、併用軌道に設けられた安全地帯でした。 しかし、京都市内の併用軌道は、交通渋滞を招き、またそれにより、京津線電車ダイヤも遅延するという状況が、頻繁に起こるようになりました。 その問題を解消するために、地下鉄が建設され、それに乗り入れる事になりました。御陵駅(もしくは山科駅)〜浜大津駅の折り返しとならならなかったのは、三条駅で京阪本線と接続する必要があったためです※3。 
 そして、地下鉄との乗り入れ協議の結果、16.5m車両の4両編成で運行されることが決定しました。地下鉄開業により、京都市内の併用軌道は消滅しましたが、大津市内の短い併用軌道は残ったままで、4両編成の車両が道路の真ん中を走る!という事になりました※4
 
 
※1 日本の普通鉄道で、歯車軌条のような特殊な物を除けば、最急勾配は、箱根登山鉄道の80パーミル(1000m進むと80m上がる)。なお、JRの最急勾配は、飯田線の40パーミル。 かつて、JRでは66.7パーミル(信越本線碓氷峠)が、平成9年9月30日まで存在したが、京阪京津線にも66.7パーミルが、地下鉄開通前まで(平成9年10月11日まで)、蹴上〜九条山に存在した。 ちなみに、普通鉄道では、一般的に、25パーミルもあれば、急勾配と言われ、40パーミルを越える路線はとても少ない。 

※2 地下鉄化にあたり、既存の京津線の駅から若干の変更があった。「(京津)三条」,「東山三条」は駅名変更のみで、ほぼ同じ場所に、「蹴上」は駅名も場所もほぼそのまま、なのに対し、「九条山」は東山(地名でなく山である)の上にあったため代替駅をつくることができず、「日ノ岡」と「御陵」は統合されたようなかたちで、その中間に「御陵」駅がつくられた。

※3 実際の乗り入れ区間は、三条京阪駅の1駅向こう、京都市役所前駅まで。 これは、市役所への利便性を考えたものではなく、単に、三条京阪駅付近に折り返し設備が作れなかった為だそうである。

※4 軌道法における軌道運転規則第46条に、連結車両の全長は30メートル以内と規定されている。そのため、京津線は特認をうけて運行している。つまり、「こんなに長い路面電車」は、日本では他に“あり得ない”のである。


京阪電車大津線 公式webサイト

京阪電気鉄道


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